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2012年1月 7日 (土)

笑い三年、泣き三月(みつき)/木内昇

直木賞受賞後の第一作ですね。笑い三年、泣き三月とは、義太夫節の修業で使われる言葉で、人を泣かせる芸は3ヶ月で完成するが、笑わせる芸には3年かかる、ということだそうです。

戦後の浅草のストリップ小屋との彼らが住むぼろアパートが舞台で、主人公は、赤の他人同士の中年、青年、少年。

善意のかたまり中年の万歳芸人・岡部善造 
東京大空襲で家族を失った活字好きの戦災孤児・田川武雄
なぜ親は自分に三日天下の武将の名前を付けたのかsign02 復員兵の元映画青年・鹿内光秀
にアパートの借り主?のストリッパー・風間時子(通称・ふう子) 

大空襲の日から泣いたことがなかった少年が、大通りを歩きながら人目もはばからず泣き続けた場面をはじめ、善造、武雄、光秀・・つい、それぞれの人物にいれこんでしまうというか、それぞれの気持ちになりきってしまいました。震災と重なってしまったからかもしれません。

ご飯の上から卵を落として、もし万が一、茶碗の外にうっかり白身でも滑らすようなことがあっては一大事である。
戦後の浅草の様子や、食糧事情もよくわかるように描かれています。

「ねぇ、ター坊。私も、戦争でいろんなものをなくしたのよ。だから、自分だけが生き残ってしまったことを単純に幸運だったとはやっぱり言い切れないの。でもね、これは、ひとつの挑戦として受け止めていいと思うのよ」
「挑戦だなんて・・・・・・思えません。僕には、罪としか思えないよ」
それは違うわ、ター坊、
「私たちは今、なにがあっても生き抜く、という切符を渡されて、その挑戦を買って出たということなのよ」

ああ、こういう人たちが、戦後の日本を復興させたのだな、とつくづく思いました。
エンドは、言っていいかな? みんなバラバラになってしまうんですけどね。
お正月に楽しんだ一冊です。

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コメント

うまく言葉が出ませんが、今、この年齢になって思うのは昔の人は偉かったなぁ(何事にも)とthink
私は、明治女の祖母と同居していたので、よくお説教され鬱陶しいなあと思ってました、天国のおばあちゃんごめんなさいと懺悔ですcoldsweats01

投稿: 紫音 | 2012年1月 8日 (日) 22:27

紫音さんへ
昔の人って活力を与えあっていたような気がします。
明治→大正→昭和→平成とおばあさんのお説教が、優しくなってきたんじゃないでしょうかねflair

投稿: マーチ | 2012年1月 9日 (月) 22:31

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