カテゴリー「書籍・雑誌 」の記事

2016年10月 5日 (水)

光炎の人/木内昇

上下巻です。図書館で借りて読み、すでに返してしまったので、細かいことは書けませんが、面白かったので。

物語は明治からスタート。徳島の貧しい農家出身で、学歴なしの郷司音三郎少年が、池田へ出て、さらに、大阪、東京へ。電気(無線)の開発にかかわる技師となっていくお話です。
純粋に「好き」で始まった少年の心が出世願望に変わっていくんですね、これが。
無用なものは切り捨てたりしてね、正直、あまりよろしくない。
でも、まあ読み進んでしまう本です。

ほかに主な登場人物は、大山利平(幼馴染み)、ミツ(叔母)、弓濱(伸銅業界で名を馳せる大物)など。

習性なのかなあ。退職後なのに仲間の中で、常に自分の立ち位置を図っている方って、いません?
その点、我ら、おばちゃんたちは気楽なもんですわsign01

| | コメント (2)

2016年3月25日 (金)

江ノ島西浦写真館/三上延

キーワードは猫でしょうかね。江ノ島には確かに猫がいますし。

主人公は去年社会人になり、藤沢で一人暮らしをしている桂木繭。母は小説家。
舞台は百年間営業していた江ノ島西浦写真館。
写真館は去年の秋に病死した祖母・富士子が最後の館主だった。
繭は遺品整理をすることになる。そこには未渡し写真も残っていた・・・。

医大生で繭より1つ年上の真島秋孝、元芸能人で失踪中の永野琉衣(男)、大学の先輩・高坂晶穗、土産物屋の一人息子・立川研司などが絡んできます。

一気に読めます。
そして、読者の想像力をかき立てる終わり方になっています。

ひとが亡くなると、何が何だかわからなくなることがありますね。
この写真に写っている人は誰なんだろうとか、この景色はどこなんだろうとか。
あるいは、何がしてほしかったのかとか。
聞くにも聞けないですしね。

| | コメント (2)

2015年4月13日 (月)

てのひら猫語り/あさのあつこ他

江戸の町には、猫の数だけ物語がある・・・書き下ろし時代小説集です。
白泉社 招き猫文庫ですって。世の中にはいろいろな文庫があるんですね。

貸物屋お庸 貸し猫探し/平谷美樹
洗い屋おゆき/越水利江子
着物憑きお紺覚書 縁の袖/時海結以
異聞井戸の茶碗/金巻ともこ
鈴江藩江戸屋敷見聞長 にゃん!/あさのあつこ

どれもそれなりに面白かった。

☆*:;;;;;;:*☆*:;;;;;;:*☆*:;;;;;:*☆*:;;;;;:*

茅ヶ崎ゆかりの人物館」がプレオープン中ということで、散歩に最適!と思った昨日、出かけてきました。
開高健記念館のとなりにあります。
今展示されているのは、野口聡一(宇宙飛行士)、杉山愛(テニスプレーヤー)、三科真澄(ソフトボール選手)、出口彩香(女子野球選手)
あと、市民栄誉賞受賞者の写真が飾ってありました。
庭にはいろいろな草花が植えられているようですが、まだ植えられたばかりなので・・・こちらはまだ観賞に値せず。

開高健記念館もこちらも毎週 金・土・日曜日の3日間と祝日だけ開いていて、両方とも無料です。
プレオープンが終わったら、有料になるのかしらね? だとしたら・・・。

| | コメント (4)

2015年1月28日 (水)

天に星 地に花/帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)

「終章」のあとの「後記」で、実在の人物とその祖先のお話だと言うことがわかりました。いわば大河ドラマの様相です。

第一章の「年貢責め」が実に面白くなく、最後まで読めるかsign02と思いましたが、第二章の「疱瘡」からは面白く読むことができました。(第一章は大事ですcoldsweats01 )
饑餓・蟄居・婚礼・鬼夜・開業・人別銀・一揆・梟首(きょうしゅ)と続きます。

人格者の親がいて、出来の悪い長男が大庄屋の跡を継ぐ。
主人公は次男の方で、久留米城周辺が舞台です。

主人公の庄十郎は13歳の時に疱瘡にかかるが、医者の小林鎮水(ちんすい)の治療で助かる。だが、看病で疱瘡がうつった母の菊は亡くなる。
恨みに思った長男の甚八は、井上村から出て行け、二度と筑後川を越えるなと言い放つ。
庄十郎は、鎮水の弟子になり、医者になる。
世相と妹の千代もからみ、物語は進みます。ちなみに実在の人物は千代の夫と子孫です。

天に星、地に花、人に慈愛
この言葉が、キーワードです。

自分では、病者に慈愛をそそいでいるつもりだった。しかし、肝腎の父母に慈愛をそそいではいない。人には説いていても、母や父の霊を、この己自身が大切にしていない。
自分は、何という裏表のある生き方をしているのか。まるで己の親不孝を糊塗(こと)するために、周囲に親孝行を説いているようなものだった。

のちに、主人公は長男の胸の内を知ることになります。

現実は、どうでしょうか。
お互いに心がすれ違ったまま、人生を終えるのではないでしょうか。
胸の内を知ることができてよかった。そう思いました。

| | コメント (2)

2015年1月 6日 (火)

心中しぐれ吉原/山本兼一

物語は一人称で書かれていますが、読みやすいと思います。

蔵前の札差「大口屋」の主、文七の女房のみつは、不忍池の出会茶屋で役者と心中した。
文七は、殺されたと確信を持つが、調べれば調べるほど、状況は心中という方向にいく。

表紙は、やはり一人称で登場する吉原・松葉屋の花魁瀬川でしょうね、前から見た姿、背表紙は後ろから見た姿が描かれています。
文七は女房に対してもheart04ですが、瀬川に対しても heart04 なんです。

疼き
痛み
裏切り
棄捐令(きえんれい)
極楽の村
激痛
人間界
終章 甘露のしぐれ

章のタイトルを見てもわかるように、明るいお話ではないです。
殺人だとすると、犯人がいるわけで、先が気になるわけですが、本のページ数が少なくなるに付け、気になることがもう一つ。物語が完結しているのか、と言うことです。

作者は2014年2月に亡くなっています。
本の発行日は2014年10月18日。

内容は書きませんが、ちゃんと完結していることだけお伝えしておきます。

「火天の城」「利休にたずねよ」の作者です。
つくづく残念です。

| | コメント (4)

2014年10月13日 (月)

紙つなげ彼らが本の紙を造っている/佐々涼子

石巻工場が短期間で復旧するだろうという楽観的な見通しを持っている者はいなかった。おおかたのものは工場閉鎖を覚悟していた。最も楽観的な者さえ、復旧には数年かかると踏んでいた。

「石巻の8号といえば、出版社にはちょっとは知られた存在なんですよ」
しかし、いったいどれくらいの人が彼らのことを知っていただろう。

この本には、震災の絶望から工場の復興までが書かれています。

石巻工場壊滅
生き延びた者たち
リーダーの決断
8号を回せ
たすきをつなぐ
野球部の運命
居酒屋店主の証言
紙つなげ!
おお石巻

3月11日、工場で働いていた従業員1306名は、全員無事だったそうです。

巻末には震災直後と、がれき撤去後の写真が載っています。
たった半年で、よくここまでがんばったなと思います。

少子化で、小学1年生とかいう本もなくなりましたっけね、高齢者も文字が読みにくくなって読書離れをしてます。
紙の本の行く末も厳しいのでしょうが、私は、やっぱり紙の新聞がいいし、電子書籍だってめくれる機能がついていますけどね、イマイチです。紙の感触が好きです。

| | コメント (2)

2014年8月23日 (土)

荒神/宮部みゆき

荒神(こうじん)。朝日新聞に連載されていたものです。
主な登場人物の説明が、最初に出ているので、わかりやすいと思います。

怪物はなぜ現れたのか?
どうやってやっつけるのか?
先日の泉鏡花のお話のように、わけ分かんない、ということもなく、どう解決するのかが気になって、一気に読んでしまいました。

帯には「現代を生きる私たちに勇気を届ける」とありましたが、
それは、どうかな?

難しく考えないで、
本を読んでる時間と読後が楽しければgood

| | コメント (4)

2014年6月18日 (水)

完全現代語 樋口一葉日記/高橋和彦

6/10に台東区立「樋口一葉記念館」に行ったとき、一緒に行ったメンバーのひとりが購入しました。
それを本人より先に読ませていただきました。この本はもう絶版になっているそうです。

「今私がお聞きした所だけでも、人を感動させる価値は十分です。あなたにとっては苦しい生活だったでしょうが、あなたの境涯はまことに詩人の境涯ですよ。素晴らしい人生です」
との明治20年から29年7月までの日記です。(一葉は29年11月23日に病没しています)。

その半分くらいは、恋のお話し。現代語に訳されているし、注釈も多いので、話もわかりやすいと思います。
2段書きの本を2日で読み終えたのは、思っていたより面白かったから。記念館に行って、ある程度の事情などがわかっていたこともありますけどね。
ただ、恋に関するつぶやきも文学的なのが凡人とは違います!

それにしても、本当に貧乏だったのですね。樋口家は人にお金を借りては生活している感じ。
にもかかわらず、もっと貧乏だった知人の家で
「昨日借りたばかりのお金を、貸すべきではなかったけど、少しばかり貸してしまった。どうか許しておくれ」
という母の言葉に対し、
「何の遠慮がいるものですか。本当によい事をなさいましたね」
あらら、いいのかしらね、一葉の言葉です。

---------------------
10日に行った「樋口一葉記念館
歴史ある建物の右写真のお店で天丼をいただきました。店内も趣がありましたが、座敷でいただきましたので、足が痺れた。
人気のお店で、いつもは長~い行列ができているんだそう。この日は午後から天気が不安定の予想だったせいかすぐに入れたものの、お店を出たときには行列ができていましたsign01
201406101 201406102

吉原大門。
ガソリンスタンドの写真ではありません、たけくらべの出だし、「廻れば大門の見返り柳」の柳が、これです。何代目か、でしょうけどね。
右写真はおおとり神社。
201406103 201406104 201406105

| | コメント (2)

2014年5月24日 (土)

たけくらべ

樋口一葉と言えば「たけくらべ」というのは、知っていましたが、つい先日、原作を読み終えたばかり。なにしろ、昔の仮名遣いだし、句点「。」が少ないこと少ないことcoldsweats01
「廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お歯ぐろ溝に燈火うつる三階の騒ぎも手に取る如く、・・・」岩波文庫のこの最初のページに句点なし、ですからね、私には今の作家が書いた江戸の市井ものより読みづらい本でした。(原作は青空文庫でも読めます)。
でも、傑作であることはわかりました。

有名な歓楽街・吉原とその周辺が舞台です。
遊郭に寄り添って生きている特殊な地域の子供たちが、夏から初秋にかけての季節の移り変わりの中に描かれています。
「たけくらべ」という題名は、「伊勢物語」の和歌からの引用で、「たけくらべの仲」とは、幼馴染みがたがいに愛しあうようになるという意味だそうですが、このお話は、思いを胸に秘めたまま離ればなれになってしまい、大人の社会に取り込まれてゆく少年少女の悲しみが主題になっています。
原作では、それぞれの読者の想像にお任せの部分が、マンガでは描かれてしまっているところもあります。でも、当時の祭りの様子や、暮らしの様子もわかりますから、そのあとで、原作を読んでもいいかもしれません。

まんが たけくらべ/すずき大和 おもな登場人物ページ↓
20140524

| | コメント (2)

2014年3月29日 (土)

死神の浮力/伊坂幸太郎

千葉は、情報部から対象となる人間を教えられ、一週間、調査を行う部署に所属している。調査後、その人間に死を与えるべきか否かを判定し、報告する。調査結果が「可」であれば、その翌日、つまり調査開始してから八日目にその人間は死ぬ。今回、担当するのは山野辺遼だ。

アメリカでは二十五人に一人は、良心を気にしない脳みそを持っているらしいが本当か?

小説家の山野辺遼と美樹夫妻の一人娘は、本庄崇(たかし)に間違いなく殺害されていた。
その本庄崇に無罪判決が出る。

夫妻は復習を企てるのだが、良心を持たない本庄は手強い。
本は、一日目、二日目と小見出しが続いていきます。
本庄の登場場面は少ないので、「やなやつだな」という感情もそんなには湧いてきません。
むしろ、千葉のトンチンカンなところがおもしろい。

おまえはお化け屋敷が怖くて、入り口の前でしゃがみ込んでいてな
じゃあ、俺が先に行って、怖いかどうか見てこよう
あれと同じだと思ってな

先に行って、怖くないことを確かめてくるよ

いつか自分にも死ぬ時が来るけど、それはそれほど特別なことではない、と思えたというか。恐ろしいことではないというか。自然なことに思えた。

親ってのは、子供の人生が無事でありますように、と思わずにはいられないんだよ。
子供がつらいことや怖いことに出会わず、平和に生きてくれないか、と願っている。

こんな文章にweep
私だって、そう思っていますよ。私の親だってそう思っていたんじゃないかな。すでに、向こう側に行っていますけどね。

ドラマか映画で見たいと思った本でした。

| | コメント (2)

より以前の記事一覧